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心の中に刻まれて忘れられない本というのがあるとしたら「朝の少女」かも知れない。難しい言葉はひとつもない。簡単で誰でも読めるから幼稚園の子どもにだって読み聞かせることができる。
でも、この本は簡単だけど、とてもとても深い。
人間として本来あるべき姿を感じさせてくれる。それは、とっても単純なことなのに、いま生きている私たちには難しいことなのかも知れない。ふんわりと優しく包まれるような温かなお話なのに、ぽろぽろ涙がこぼれてくる。そうやって何度も何度も読むうちに、いつしか、ぼろぼろになってしまいました。
文庫 灰谷 健次郎 新潮社 1996/12 ¥540
心の中に刻まれて忘れられない本というのがあるとしたら「朝の少女」かも知れない。難しい言葉はひとつもない。簡単で誰でも読めるから幼稚園の子どもにだって読み聞かせることができる。
でも、この本は簡単だけど、とてもとても深い。
人間として本来あるべき姿を感じさせてくれる。それは、とっても単純なことなのに、いま生きている私たちには難しいことなのかも知れない。ふんわりと優しく包まれるような温かなお話なのに、ぽろぽろ涙がこぼれてくる。そうやって何度も何度も読むうちに、いつしか、ぼろぼろになってしまいました。
文庫 灰谷 健次郎 新潮社 1996/12 ¥540
スイートリトルライズ
2006年9月21日 読書
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ネタばれしないように感想を書くのはとても難しいことで、何となく本を読んで感じたこと考えたことを本の内容とは関係なく書き連ねております。
この小説の登場人物たちに共感してしまう自分というものが、どこか危うい存在に思えてなりません。恋愛というものの価値観を揺さぶられてしまいますね。
それならいっそ恋なんてしない方が良いのかもしれない。真剣に愛したりすることが、恋人や夫(または妻)の重荷になってしまうのだとしたら・・・心のバランスを保つのはとても難しいことだと思います。
例えば嫉妬。この感情は本当に恋人たちの心を冷やしてしまう。誰にも束縛されない、誰も束縛しない生き方が良いのでしょうか。いろいろ考えさせられる一冊です。
単行本 江國 香織 幻冬舎 2004/03 ¥1,470
ネタばれしないように感想を書くのはとても難しいことで、何となく本を読んで感じたこと考えたことを本の内容とは関係なく書き連ねております。
この小説の登場人物たちに共感してしまう自分というものが、どこか危うい存在に思えてなりません。恋愛というものの価値観を揺さぶられてしまいますね。
それならいっそ恋なんてしない方が良いのかもしれない。真剣に愛したりすることが、恋人や夫(または妻)の重荷になってしまうのだとしたら・・・心のバランスを保つのはとても難しいことだと思います。
例えば嫉妬。この感情は本当に恋人たちの心を冷やしてしまう。誰にも束縛されない、誰も束縛しない生き方が良いのでしょうか。いろいろ考えさせられる一冊です。
単行本 江國 香織 幻冬舎 2004/03 ¥1,470
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1998年から2001年にかけて雑誌に掲載された8編に、書き下ろしの2編を加えた辻仁成さんの初の短編集。どの作品にも辻仁成さんという人物を感じさせるものがあった。そこには「恋とは何か、愛とは何か」という答えの見つからない問いを求め続ける姿が浮かび上がってくる。
本の帯にも書いてあるけれど「一瞬が永遠になるものが恋、永遠が一瞬になるものが愛」この言葉には妙に納得するものがある。そういう意味で、もし理想の恋というものが存在するとしたら、この本のタイトルになっている「目下の恋人」なのかも知れない。
文庫 辻 仁成 光文社
1998年から2001年にかけて雑誌に掲載された8編に、書き下ろしの2編を加えた辻仁成さんの初の短編集。どの作品にも辻仁成さんという人物を感じさせるものがあった。そこには「恋とは何か、愛とは何か」という答えの見つからない問いを求め続ける姿が浮かび上がってくる。
本の帯にも書いてあるけれど「一瞬が永遠になるものが恋、永遠が一瞬になるものが愛」この言葉には妙に納得するものがある。そういう意味で、もし理想の恋というものが存在するとしたら、この本のタイトルになっている「目下の恋人」なのかも知れない。
文庫 辻 仁成 光文社
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石田衣良さんの作品を読むのは2冊目。「池袋ウエストゲートパーク」の鮮烈な印象を残したまま手に取った「うつくしい子ども」から石田衣良という作家の深さを、まざまざと感じた気がした。
クスノキの大樹の下に集う子どもたちは美しかった。蝉が蛹から羽化するような(きっと、その時は生まれ変わるのに痛みをともなうと思うから)そんな青い季節の只中で生きている子どもたちの美しさを描いたように思う。
この小説はある少年犯罪と類似しているので社会的な問題を突きつけている部分もあり、どの世代の人が読んでも深く考えさせられる内容になっている。
文庫 石田 衣良 文藝春秋 2001/12 ¥500
石田衣良さんの作品を読むのは2冊目。「池袋ウエストゲートパーク」の鮮烈な印象を残したまま手に取った「うつくしい子ども」から石田衣良という作家の深さを、まざまざと感じた気がした。
クスノキの大樹の下に集う子どもたちは美しかった。蝉が蛹から羽化するような(きっと、その時は生まれ変わるのに痛みをともなうと思うから)そんな青い季節の只中で生きている子どもたちの美しさを描いたように思う。
この小説はある少年犯罪と類似しているので社会的な問題を突きつけている部分もあり、どの世代の人が読んでも深く考えさせられる内容になっている。
文庫 石田 衣良 文藝春秋 2001/12 ¥500
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2005年国内で一番売れたSFは小川一水の「老ヴォールの惑星」でした。思えばSFが大好きだったのは中高校生の頃で、それ以降は、あまり読んでいなかったこともあるし、この本が凄いらしいという噂を耳にしても「ふうん、そうなんだ」と思う程度だった。
読み終わって正直「しまった」と思った。ハンマーで頭をガツンと殴られたようだった。この本には短編4作が収録されている。
「ギャルナフカの迷宮」極限の世界で人間はどう行動するのか試されているような作品。「老ヴォールの惑星」2003年SFマガジン読者賞受賞作品。「幸せになる箱庭」オンラインゲームが好きな私には考えさせられるものがあった。「漂った男」悲劇的な状況でどう人が生きていくのかが描かれている。
4作の中で特に「老ヴォールの惑星」は常人の想像の域を超えたところにあり、読み終わった後は言葉がみつからなかった。感動という言葉を突き抜けてしまって、しばらく心臓の鼓動がどくどくと胸を打っていた。
解説でノンフィクション・ライターの松浦晋也さんは、小川作品の入門のために「復活の地」を薦めているので、ぜひ読んでみたいと思っている。
小川 一水 早川書房 2005/08/09 ¥756
2005年国内で一番売れたSFは小川一水の「老ヴォールの惑星」でした。思えばSFが大好きだったのは中高校生の頃で、それ以降は、あまり読んでいなかったこともあるし、この本が凄いらしいという噂を耳にしても「ふうん、そうなんだ」と思う程度だった。
読み終わって正直「しまった」と思った。ハンマーで頭をガツンと殴られたようだった。この本には短編4作が収録されている。
「ギャルナフカの迷宮」極限の世界で人間はどう行動するのか試されているような作品。「老ヴォールの惑星」2003年SFマガジン読者賞受賞作品。「幸せになる箱庭」オンラインゲームが好きな私には考えさせられるものがあった。「漂った男」悲劇的な状況でどう人が生きていくのかが描かれている。
4作の中で特に「老ヴォールの惑星」は常人の想像の域を超えたところにあり、読み終わった後は言葉がみつからなかった。感動という言葉を突き抜けてしまって、しばらく心臓の鼓動がどくどくと胸を打っていた。
解説でノンフィクション・ライターの松浦晋也さんは、小川作品の入門のために「復活の地」を薦めているので、ぜひ読んでみたいと思っている。
小川 一水 早川書房 2005/08/09 ¥756
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随分、軽い書き方だなって最近の江國さんの小説を読むたびにそう思う。でも何でこんなにリアリティがあるんだろう。まるで自分で体験したかのような、そんな感じ。
東京に住んでいた頃、わたしは東京タワーにのぼろうなんて考えたこともなかった。この小説の中でも遠くから、いろいろな東京タワーの姿が見えている。東京という街の、そこに生きる人々の象徴のように、今日も東京タワーは誰かの視界の中ですっくりとそびえているに違いない。
読み終えて感じたことは恋は人を幸せにするのだろうかってこと。人間って何だか哀しい生き物だなって、そんな風に感じた。もし、この小説のような恋が本当にあるのだとしたら。
ISBN:410133921X 文庫 江國 香織 新潮社 2006/02 ¥620
随分、軽い書き方だなって最近の江國さんの小説を読むたびにそう思う。でも何でこんなにリアリティがあるんだろう。まるで自分で体験したかのような、そんな感じ。
東京に住んでいた頃、わたしは東京タワーにのぼろうなんて考えたこともなかった。この小説の中でも遠くから、いろいろな東京タワーの姿が見えている。東京という街の、そこに生きる人々の象徴のように、今日も東京タワーは誰かの視界の中ですっくりとそびえているに違いない。
読み終えて感じたことは恋は人を幸せにするのだろうかってこと。人間って何だか哀しい生き物だなって、そんな風に感じた。もし、この小説のような恋が本当にあるのだとしたら。
ISBN:410133921X 文庫 江國 香織 新潮社 2006/02 ¥620
ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) 新潮文庫
2006年3月30日 読書 コメント (3)
歴史を学ぶ上で最も大切なことは、過去から何を学ぶかであると思う。塩野七生は常にそのことを心にかけながら歴史を紐解いているのが素晴らしい。
この本の「ひとまずの結び」の中で・・・
「古代のローマ人が後世の人々に遺した真の遺産とは、広大な帝国でもなく、二千年経ってもまだ立っている遺産でもなく、宗教が異なろうと人種や肌の色が違おうと同化してしまった、彼らの解放性ではなかったか。
それなのにわれわれ現代人は、あれから二千年が経っていながら、宗教的には非寛容であり、統治能力よりも統治理念に拘泥し、他民族や他人種を排斥しつづけるのをやめようとしない」
と記している。感銘を受けた深い言葉である。
文庫 塩野 七生 新潮社 2002/05 ¥460
この本の「ひとまずの結び」の中で・・・
「古代のローマ人が後世の人々に遺した真の遺産とは、広大な帝国でもなく、二千年経ってもまだ立っている遺産でもなく、宗教が異なろうと人種や肌の色が違おうと同化してしまった、彼らの解放性ではなかったか。
それなのにわれわれ現代人は、あれから二千年が経っていながら、宗教的には非寛容であり、統治能力よりも統治理念に拘泥し、他民族や他人種を排斥しつづけるのをやめようとしない」
と記している。感銘を受けた深い言葉である。
文庫 塩野 七生 新潮社 2002/05 ¥460
ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) 新潮文庫
2006年3月30日 読書
ポリス国家、アテネとスパルタは純血主義だった。片親が他国人であったり先祖に他国人の血が流れていたり、本国以外で生まれた人には、市民権・参政権・裁判等の権利は許されず、私有財産を持つことはできない。また自由民であっても市民権を得ることはできない。
ローマは戦争で敵国に勝っても、敗戦国を征服して植民地とするのではなく、引き続き統治権を認め、ローマへ移住する人には市民権・参政権を積極的に与えた。私有財産も認めている。他の民族を認めるためには宗教を認めなければならない。塩野七生は、キリスト教観ではローマの多神教を理解することはできないと言う。ローマの場合は「システムとしての多神教」が機能したと言えるのかも知れない。
文庫 塩野 七生 新潮社 2002/05 ¥420
ローマは戦争で敵国に勝っても、敗戦国を征服して植民地とするのではなく、引き続き統治権を認め、ローマへ移住する人には市民権・参政権を積極的に与えた。私有財産も認めている。他の民族を認めるためには宗教を認めなければならない。塩野七生は、キリスト教観ではローマの多神教を理解することはできないと言う。ローマの場合は「システムとしての多神教」が機能したと言えるのかも知れない。
文庫 塩野 七生 新潮社 2002/05 ¥420
「ピーター・パン」の物語は悲しみを乗り越えるために生まれた
たくさんの透き通った涙を夢と希望に変えて・・・この映画が実話であるだけに驚きと感動がさらに深まっていく。
自分の影法師を探しに、ダーリング家の子供部屋に舞い降りてきたピーター・パン。決してどこにも存在しない国、ネバーランドに住むこの永遠の少年と、彼が活躍する胸躍る冒険の物語は、誕生から100年の時を経たいまも、世界中の人々に愛され続けている。実はピーター・パンには、モデルとなった少年がいた。そして、その物語が編み出されていった背景に、もうひとつの愛のドラマが存在した。
1904年12月27日にロンドンで初めて「ピーターパン」が上演された。この物語は子供のように夢見る心を持ち続ける劇作家バリと、彼によって夢を信じる心を取り戻していくピーターという名の少年との出会いから生まれた。ふたつの繊細な魂の触れ合い。そして、病に冒されたシルヴィア(ピーターの母)をめぐり、ピーターが不安や恐怖と葛藤を繰り広げるエピソードは、思い切り切なさを誘う。そんなピーターに、愛する人を心の中のネバーランドに旅立たせることを教えるバリ。夢を信じることの大切さをテーマにした「ピーター・パン」の物語が、喪失の悲しみの中から生まれたという事実が、見る者の胸に深い感動を呼び起こさずにはいられない。
DVD 2005/08/03 ¥3,990
たくさんの透き通った涙を夢と希望に変えて・・・この映画が実話であるだけに驚きと感動がさらに深まっていく。
自分の影法師を探しに、ダーリング家の子供部屋に舞い降りてきたピーター・パン。決してどこにも存在しない国、ネバーランドに住むこの永遠の少年と、彼が活躍する胸躍る冒険の物語は、誕生から100年の時を経たいまも、世界中の人々に愛され続けている。実はピーター・パンには、モデルとなった少年がいた。そして、その物語が編み出されていった背景に、もうひとつの愛のドラマが存在した。
1904年12月27日にロンドンで初めて「ピーターパン」が上演された。この物語は子供のように夢見る心を持ち続ける劇作家バリと、彼によって夢を信じる心を取り戻していくピーターという名の少年との出会いから生まれた。ふたつの繊細な魂の触れ合い。そして、病に冒されたシルヴィア(ピーターの母)をめぐり、ピーターが不安や恐怖と葛藤を繰り広げるエピソードは、思い切り切なさを誘う。そんなピーターに、愛する人を心の中のネバーランドに旅立たせることを教えるバリ。夢を信じることの大切さをテーマにした「ピーター・パン」の物語が、喪失の悲しみの中から生まれたという事実が、見る者の胸に深い感動を呼び起こさずにはいられない。
DVD 2005/08/03 ¥3,990
某ブログにいたらラジオDJにチャットルームに招待された。チャットをしながら音楽とDJのおしゃべりを聴くのだけど、すごく楽しかった。初めての経験で凄いハイテンションだったように思う。思い出すと恥ずかしい。ラジオから流れてきたのが、Avrilで
「トリノオリンピックの閉会式で歌ってた」
と、誰かが言って話が盛り上がった。「Let Go」はAvrilのデビューアルバムで全世界で爆発的に売れましたよね?もう、2年前の話かと思うと時間の流れが速く感じられます。このジャケットのAvrilは幼さが残っていて、まだ少女って感じですよね。でも、初めて聴いた時は、こんなに多彩な歌手がいるのかと驚いたのを覚えています。DJが
「また誘いますね」
と、言ってくれたので、次はどんな曲が聴けるのか楽しみです。
Avril Lavigne CD Bmg 2004/07/05 ¥2,527
「トリノオリンピックの閉会式で歌ってた」
と、誰かが言って話が盛り上がった。「Let Go」はAvrilのデビューアルバムで全世界で爆発的に売れましたよね?もう、2年前の話かと思うと時間の流れが速く感じられます。このジャケットのAvrilは幼さが残っていて、まだ少女って感じですよね。でも、初めて聴いた時は、こんなに多彩な歌手がいるのかと驚いたのを覚えています。DJが
「また誘いますね」
と、言ってくれたので、次はどんな曲が聴けるのか楽しみです。
Avril Lavigne CD Bmg 2004/07/05 ¥2,527
「余分なこと、無駄なこと、役にたたないこと。そういうものばかりでできている小説が書きたかった」
江國香織さんは後書きでこう書いています。思えば、日々は余分なもののかたまりだのようなもので、江國香織さんの本は、いつもどこにでもあるような日常が描かれています。もしかしたら、彼女の本が好きだと言う人は本の登場人物に自分自身を重ねて見ているのかもしれませんね。事実、私はその一人だったりします。今まで、言いたかったけど言葉に出来なかったことが、たくさんあるのだなということに気づかせてくれる一冊です。例えば、女友達と言うのは、この世で一番ややこしい存在かも知れません。分かっているようで、分からない。険悪になったり、和やかになったり。そしてこれ以上ない程親密になることは出来るけど、やはり互いに尊重すべきテリトリーを持っていなければならない。
「これだから友情と言う概念は分からない」と作中で中野さんが言っているように、他人には理解しがたい何かを持っている、それが友情なのかもしれませんね。
文庫 江國 香織 新潮社 1998/02 ¥500
江國香織さんは後書きでこう書いています。思えば、日々は余分なもののかたまりだのようなもので、江國香織さんの本は、いつもどこにでもあるような日常が描かれています。もしかしたら、彼女の本が好きだと言う人は本の登場人物に自分自身を重ねて見ているのかもしれませんね。事実、私はその一人だったりします。今まで、言いたかったけど言葉に出来なかったことが、たくさんあるのだなということに気づかせてくれる一冊です。例えば、女友達と言うのは、この世で一番ややこしい存在かも知れません。分かっているようで、分からない。険悪になったり、和やかになったり。そしてこれ以上ない程親密になることは出来るけど、やはり互いに尊重すべきテリトリーを持っていなければならない。
「これだから友情と言う概念は分からない」と作中で中野さんが言っているように、他人には理解しがたい何かを持っている、それが友情なのかもしれませんね。
文庫 江國 香織 新潮社 1998/02 ¥500
江國香織さんの小説は細部できらきらと輝く彩りがあります。この作品にもやっぱり魅力的な細部が揃っていて、それらはどれもごく当たり前の物だったり、出来事だったりします。そう、普通に日常にありふれているものばかりです。そんな様々な細部が作品に現実感を与えています。江國香織さんはそういう他愛のない物事に明かりをあてるのがとても上手です。あるインタビューで「優しいのであればそれを優しいという言葉で表現するのではなくて、別の言葉で書きたいじゃないですか。そうするとやり方として説得力が出るんです。そう、見せたいんです、優しさだったら優しさを」と答えているけれど、そういうスタンスで書かれている文章はやっぱり読んでいて惹かれるものがあります。
文庫 江國 香織 角川書店 1999/06 ¥560
文庫 江國 香織 角川書店 1999/06 ¥560
Another Mind
2006年3月1日 音楽
これはバークリー在学中の2002年に録音したデビュー作です。テラーク・レーベルからの発表で、ジャズ界の新鋭、上原ひろみさんは、いわゆる逆輸入アーティストです。
先日、LIVEが放送されました。日本での知名度はいまひとつで、ブレイクしているのは、むしろアメリカです。あの小さい体で全身をたたきつけるような(実際、肘とか握りこぶしで、ガンガン鍵盤をたたくのだけど)迫力のある演奏です。それでいて美しく情感のあるフレーズもしっかり盛り込んでくる。音楽の幅が広いのも上原ひろみさんの魅力です。オスカー・ピーターソン、チック・コリア、ハービー・ハンコックら、本場の錚々たるジャズメンたちも絶賛していて、世界各国で感動の渦を巻き起こしています(もちろん日本の音楽史上、初めてと言われていて)その「才能」は、天才と称されるだけのことはありました。
上原ひろみさんは六歳からピアノを始めヤマハ音楽教室で作曲を学びました。16歳の時、チック・コリアの来日公演の最終日に舞台から呼ばれて共演、チック・コリアから称賛を受け、国内外のコンサートに出演し、日産自動車や花王などのコマーシャル・ソングを書き、20歳でバークリー音楽大学に留学しました。卒業を控えて、テラークレーベルと契約し全米デビューします。音楽院を首席で卒業後、日本国内でも毎日放送製作のテレビ特集番組「情熱大陸」に採り上げられてTBS系列の全国放映で取り上げられました。間もなく始まったキリンのテレビコマーシャルで知名度を上昇させ、短期間で10万枚の売り上げを突破します。2004年の日本ゴールドディスク大賞でジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
Hiromi CD Telarc 2003/04/22 ¥2,363Xyz
先日、LIVEが放送されました。日本での知名度はいまひとつで、ブレイクしているのは、むしろアメリカです。あの小さい体で全身をたたきつけるような(実際、肘とか握りこぶしで、ガンガン鍵盤をたたくのだけど)迫力のある演奏です。それでいて美しく情感のあるフレーズもしっかり盛り込んでくる。音楽の幅が広いのも上原ひろみさんの魅力です。オスカー・ピーターソン、チック・コリア、ハービー・ハンコックら、本場の錚々たるジャズメンたちも絶賛していて、世界各国で感動の渦を巻き起こしています(もちろん日本の音楽史上、初めてと言われていて)その「才能」は、天才と称されるだけのことはありました。
上原ひろみさんは六歳からピアノを始めヤマハ音楽教室で作曲を学びました。16歳の時、チック・コリアの来日公演の最終日に舞台から呼ばれて共演、チック・コリアから称賛を受け、国内外のコンサートに出演し、日産自動車や花王などのコマーシャル・ソングを書き、20歳でバークリー音楽大学に留学しました。卒業を控えて、テラークレーベルと契約し全米デビューします。音楽院を首席で卒業後、日本国内でも毎日放送製作のテレビ特集番組「情熱大陸」に採り上げられてTBS系列の全国放映で取り上げられました。間もなく始まったキリンのテレビコマーシャルで知名度を上昇させ、短期間で10万枚の売り上げを突破します。2004年の日本ゴールドディスク大賞でジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
Hiromi CD Telarc 2003/04/22 ¥2,363Xyz
原作は士郎正宗(しろう まさむね)「攻殻機動隊」で一般化した感がありますが、登場初期からマニアックかつカルト的な人気を持つ漫画家でもあります。(わたしも、はまっている一人)海外での人気も高く、映画「マトリックス」に多大な影響を与えているのは有名です。
押井守監督の「GHOST IN THE SHELL」も大好きなのですが、それでもこの作品を十分楽しむことができます。戦闘シーンでの素晴らしい映像とBGMの組み合わせは何度でも見たくなる中毒性を持っていますし、この作品は、原作からエンターテイメント性の部分を重点的に抽出して仕上げたということでは非常に大きな成功を収めているのではないでしょうか?
DVD ジェネオン エンタテインメント 2004/11/25 ¥3,990
押井守監督の「GHOST IN THE SHELL」も大好きなのですが、それでもこの作品を十分楽しむことができます。戦闘シーンでの素晴らしい映像とBGMの組み合わせは何度でも見たくなる中毒性を持っていますし、この作品は、原作からエンターテイメント性の部分を重点的に抽出して仕上げたということでは非常に大きな成功を収めているのではないでしょうか?
DVD ジェネオン エンタテインメント 2004/11/25 ¥3,990
直木賞を受賞して、いま話題の本です。ネタバレしないように本の感想を書くって難しいですが・・・この本の印象をいくつか書きたいと思います。
何だか物語の中にひきこまれて、すらすら読めてしまいました。300ページ以上あって結構長い本なのに、長さを感じないほどで、これだけ集中して読めた本は久しぶりかも知れません。最近「博士の愛した数式」を読んだせいか、数学の世界に素直に共感できました。こういう世界を、さらりと書ける東野さんは凄いと思います。
そして、トリックよりも、なぜそんな事をしたのか?という「動機」に衝撃を受けました。見返りを求めない、ただひたすら愛することだけを考えて・・・ミステリとしても楽しめ、純愛小説でもある作品。
「私の考え得る最大の純愛、最高のトリック」だという著者自身の言葉に裏切られることのない一冊です。
ISBN:4163238603 単行本 東野 圭吾 文藝春秋 2005/08/25 ¥1,680
何だか物語の中にひきこまれて、すらすら読めてしまいました。300ページ以上あって結構長い本なのに、長さを感じないほどで、これだけ集中して読めた本は久しぶりかも知れません。最近「博士の愛した数式」を読んだせいか、数学の世界に素直に共感できました。こういう世界を、さらりと書ける東野さんは凄いと思います。
そして、トリックよりも、なぜそんな事をしたのか?という「動機」に衝撃を受けました。見返りを求めない、ただひたすら愛することだけを考えて・・・ミステリとしても楽しめ、純愛小説でもある作品。
「私の考え得る最大の純愛、最高のトリック」だという著者自身の言葉に裏切られることのない一冊です。
ISBN:4163238603 単行本 東野 圭吾 文藝春秋 2005/08/25 ¥1,680
ステルス デラックス・コレクターズ・エディション
2006年2月24日 映画 コメント (1)
近未来SF映画。サスペンスのように複雑なストーリーが好きな人には、ちょっと物足りないかも知れませんが「ターミネーター」や「アイロボット」のメッセージ性に共感できる人ならば、文句なく楽しめると思います。
舞台は近未来のアメリカ。テロ対策のステルス戦闘機が密かに実戦配備に向け、精鋭三人がチームを組んで厳しい演習を繰り返していた。突然、四台目のステルスが仲間に入ることになるが、しかし、それは人工知能を搭載した無人ステルス戦闘!名前は「E.D.I」(エディ)。圧倒的な戦闘能力と人工知能の学習力を持つエディだが・・・。
ストーリーそのものは、どこかで見たことがあるという感じがぬぐい切れなかったのですが、最近、つまらないDVDの鑑賞が続いていたので、戦闘シーンは迫力があったし、音楽も楽しめたので久しぶりに良い作品だったと思います。
DVD ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2006/01/25 ¥4,179
舞台は近未来のアメリカ。テロ対策のステルス戦闘機が密かに実戦配備に向け、精鋭三人がチームを組んで厳しい演習を繰り返していた。突然、四台目のステルスが仲間に入ることになるが、しかし、それは人工知能を搭載した無人ステルス戦闘!名前は「E.D.I」(エディ)。圧倒的な戦闘能力と人工知能の学習力を持つエディだが・・・。
ストーリーそのものは、どこかで見たことがあるという感じがぬぐい切れなかったのですが、最近、つまらないDVDの鑑賞が続いていたので、戦闘シーンは迫力があったし、音楽も楽しめたので久しぶりに良い作品だったと思います。
DVD ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2006/01/25 ¥4,179
ローラ、叫んでごらん―フライパンで焼かれた少女の物語
2006年2月10日 読書 コメント (3)
この本を読んだのは中学の三年の時のことだった。図書室でかりた本だったのだけど(微かな記憶をたどってみると)手にした時にすでに古びた感じだったので、今、こうして文庫で出版されていることが、不思議な感じがする。永遠のヒューマンドキュメンタリーなのかも知れない。
副題にある通り、ローラはフライパンで焼かれてしまった。確か、泣き声がうるさい、そういって両親は1歳のローラをフライパンで焼いた。一命をとりとめた幼子は知的障害児として施設に送られるが、他者への恐怖と絶望から言葉を発することができなかった。12歳のローラが臨床精神科医の著者とめぐりあったとき、運命は新たなる道を辿りはじめた。
この本を読んだ頃、わたしは家庭内の殺伐とした雰囲気と父親の暴力に心を痛めていた。わたしは中学を卒業すると家を出ることになるのだけれど、案外、この本がきっかけになったのかなと思う。人間の愛と再生と感動の物語だった。
ISBN:4062564114 文庫 関口 英男 講談社 2000/02 ¥819
副題にある通り、ローラはフライパンで焼かれてしまった。確か、泣き声がうるさい、そういって両親は1歳のローラをフライパンで焼いた。一命をとりとめた幼子は知的障害児として施設に送られるが、他者への恐怖と絶望から言葉を発することができなかった。12歳のローラが臨床精神科医の著者とめぐりあったとき、運命は新たなる道を辿りはじめた。
この本を読んだ頃、わたしは家庭内の殺伐とした雰囲気と父親の暴力に心を痛めていた。わたしは中学を卒業すると家を出ることになるのだけれど、案外、この本がきっかけになったのかなと思う。人間の愛と再生と感動の物語だった。
ISBN:4062564114 文庫 関口 英男 講談社 2000/02 ¥819
この本の帯に担当編集者のコメントがあって(こんなの↓)
いままで本を読んで泣いたことは、一度もありませんでした。でも、この作品を読んで、はじめて涙をこぼしました。その涙は「哀しいから」とか「切ないから」とか「美しすぎる世界を描いているから」とか、どんなことばでも到底追いつけない、そんな涙でした。もし、ひとが一生のなかでつける「幸せのため息」の回数が決まっているのだとしたら、そのうちのいくつかは、確実にこの作品のなかでついてしまった、といまは深く強く思います。最終章。ぜひ、耳を澄ませて読んでみてください。きっとあなたの耳に、ある美しいひとつの曲が、強く、やさしく立ち上がってくるはずです。
わたしは何故だか泣けなかった。確かに感動はしたし、西加奈子さんは本当に才能のある人だなと、しみじみ感じたけれど、心の中に違和感が残った。多分、わたしの中で家族の存在があったかい温もりのあるものでは、ないからだと思う。普通の人が家族に抱く当たり前の感情が欠落しているのかも知れないな。多分。だから、ごく普通に育った人が読めば泣けるのだろうなと思う。そういう人は、もう、それだけで幸せな人なんだろうな。
ところで、今年は50冊を読破する目標をたてているのだけれど「さくら」で5冊目になりました。最近は読んだ本のことぐらいしか書いていませんが〔HOME〕では、わりと頻繁に更新していますので、よろしかったら一度、遊びに来て下さいね。
西 加奈子 小学館 2005/02 ¥1,470
いままで本を読んで泣いたことは、一度もありませんでした。でも、この作品を読んで、はじめて涙をこぼしました。その涙は「哀しいから」とか「切ないから」とか「美しすぎる世界を描いているから」とか、どんなことばでも到底追いつけない、そんな涙でした。もし、ひとが一生のなかでつける「幸せのため息」の回数が決まっているのだとしたら、そのうちのいくつかは、確実にこの作品のなかでついてしまった、といまは深く強く思います。最終章。ぜひ、耳を澄ませて読んでみてください。きっとあなたの耳に、ある美しいひとつの曲が、強く、やさしく立ち上がってくるはずです。
わたしは何故だか泣けなかった。確かに感動はしたし、西加奈子さんは本当に才能のある人だなと、しみじみ感じたけれど、心の中に違和感が残った。多分、わたしの中で家族の存在があったかい温もりのあるものでは、ないからだと思う。普通の人が家族に抱く当たり前の感情が欠落しているのかも知れないな。多分。だから、ごく普通に育った人が読めば泣けるのだろうなと思う。そういう人は、もう、それだけで幸せな人なんだろうな。
ところで、今年は50冊を読破する目標をたてているのだけれど「さくら」で5冊目になりました。最近は読んだ本のことぐらいしか書いていませんが〔HOME〕では、わりと頻繁に更新していますので、よろしかったら一度、遊びに来て下さいね。
西 加奈子 小学館 2005/02 ¥1,470
翻訳本というのは、翻訳者の感性が大きく作用するように思う。
あるブログで「ダン・ブラウンの作品は芸術的でない」という意見もあった。この点に関しては多少の疑問がある。例えば、ハリーポッターのシリーズに関して言うと、翻訳者の力量が大きく関与していると思う。確かに名訳だ。別に越前 敏弥さんの訳が悪いという訳ではない。簡潔で読みやすい文章だと思うが、芸術的な表現に長けているとも言い難い。もちろん原文を読んだことがないので、あくまで想像なのだけど。
苦労して訳して下さる方に申し訳ない発言だけれど、翻訳というのは、ある意味で自分の作品のようなもので、翻訳者の表現の癖というのがあるのを忘れてはいけないと思う。例えば「源氏物語」はたくさんの新訳がある。古文はある意味で外国語のようなもので「源氏物語」ひとつとっても様々な表現や翻訳する人の感性が現れてくる。英語の文章を翻訳するのだって同じことが言えるのではないだろうか。
もし「天使と悪魔」の文章を英文で読みきるだけの力のある人なら、別の世界が見えてくるものかも知れない。
ISBN:4047914576 単行本 越前 敏弥 角川書店 2003/10/31 ¥1,890
あるブログで「ダン・ブラウンの作品は芸術的でない」という意見もあった。この点に関しては多少の疑問がある。例えば、ハリーポッターのシリーズに関して言うと、翻訳者の力量が大きく関与していると思う。確かに名訳だ。別に越前 敏弥さんの訳が悪いという訳ではない。簡潔で読みやすい文章だと思うが、芸術的な表現に長けているとも言い難い。もちろん原文を読んだことがないので、あくまで想像なのだけど。
苦労して訳して下さる方に申し訳ない発言だけれど、翻訳というのは、ある意味で自分の作品のようなもので、翻訳者の表現の癖というのがあるのを忘れてはいけないと思う。例えば「源氏物語」はたくさんの新訳がある。古文はある意味で外国語のようなもので「源氏物語」ひとつとっても様々な表現や翻訳する人の感性が現れてくる。英語の文章を翻訳するのだって同じことが言えるのではないだろうか。
もし「天使と悪魔」の文章を英文で読みきるだけの力のある人なら、別の世界が見えてくるものかも知れない。
ISBN:4047914576 単行本 越前 敏弥 角川書店 2003/10/31 ¥1,890
ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」の前作(ロバート・ラングドン、シリーズの第1作にあたる)「天使と悪魔」を読んだ。
個人の好みの問題だと思うけれど、わたしは「天使と悪魔」の方が好きだ。ダン・ブラウンの博学さに、ただただ圧倒された感じがする。作者個人には信仰心というものは感じられないのだが、信仰する者の心理をとても深く理解しているので、そういう点でも驚かされた。
ISBN:4047914568 単行本 越前 敏弥 角川書店 2003/10/31 ¥1,890
個人の好みの問題だと思うけれど、わたしは「天使と悪魔」の方が好きだ。ダン・ブラウンの博学さに、ただただ圧倒された感じがする。作者個人には信仰心というものは感じられないのだが、信仰する者の心理をとても深く理解しているので、そういう点でも驚かされた。
ISBN:4047914568 単行本 越前 敏弥 角川書店 2003/10/31 ¥1,890
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