江國香織さんの小説は細部できらきらと輝く彩りがあります。この作品にもやっぱり魅力的な細部が揃っていて、それらはどれもごく当たり前の物だったり、出来事だったりします。そう、普通に日常にありふれているものばかりです。そんな様々な細部が作品に現実感を与えています。江國香織さんはそういう他愛のない物事に明かりをあてるのがとても上手です。あるインタビューで「優しいのであればそれを優しいという言葉で表現するのではなくて、別の言葉で書きたいじゃないですか。そうするとやり方として説得力が出るんです。そう、見せたいんです、優しさだったら優しさを」と答えているけれど、そういうスタンスで書かれている文章はやっぱり読んでいて惹かれるものがあります。
文庫 江國 香織 角川書店 1999/06 ¥560
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